苗字の謎その2

  • 2014年10月25日(土) 22:17 JST
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隆三

真夜中の仕事中

 

「なんだかんだいっても夜は静かだよな・・・まあ、そう悪くはないか?やっぱり仕事 環境は大事って言うか。後は日中がどうかって感じになるんだろうな~。とかとかガキ共が係わってくるのは計 算外だったけど、とかもどちらかといえばまだ見切る段階じゃないし、とりあえず様子見るか~」

そして、朝。

「いけね、ソファーで寝ちまったな・・・」

ベランダから差し込む陽光。
風にそよぐ洗濯洗剤の匂い。
真っ白な、洗濯物・・・・

「なんだ?」
ベランダには洗濯物がいっぱい干してある。
「ちょっと待てよ、なんなんだこれは!」

「起こしてしまったか」

「起こしてしまったかじゃねえだろ!なんで人の部屋で洗濯物干してんだよ!」

「人の部屋?どこの話だ?」

「ここの話だが・・・ここはオレの部屋なんじゃないのか?」

「・・・・」

「黙るところなの?」

「洗濯物が干せるベランダはこの家ではここしかないんだ。気づいてなかったのか」

「・・・・」

「洗濯も順番にするのは聞いてないのか?」

「聞いてない・・・」

「今聞いたよな?憶えておいてくれ。順番的にはオレの前になると思うから、3日後には回ってくるぞ」

「ババアもやるのか?」

「一応、頭数には入ってるが・・・」

「オレはやらんぞ!何でこんなババアの家にある隙間を目指して献身的に働かなくてはならないんだ?」

「家賃が安いからなんじゃないのか」

「・・・・」

「実際のところを教えてやろうか?」

「・・・・」

「ここに引っ越してくるって言うから、最初はよっぽどいい人間か、騙されてるかどっちかだと思ったよ。その顔は騙されてたっぽいが」

「・・・・」

「まあ、聞いたら結構いい条件みたいだし、騙されたっていうよりは、オレが代わってもいいと思ったぜ。どうだ?オレの部屋と交換しないか?」

「なんだって?」

「だって格安家賃じゃないか。オレはどちらかといえば、安いほうがいいからな。しかも気づいてるかもしれないが・・・ここは日当たりもいいし、占有面積が広くなるわけだろ?なあ、交換しないか?」

「ちょっと待て、オレを騙そうとしてんだろ?この条件のどこがいいって?プライバシーなし、人の飯作って食わして後片付けしてしかも洗濯物干しかよ!これのどこがいいんだよ!」

「家賃安いんじゃないのか?」

「・・・・」

「金に余裕があるんなら、オレが代わるよ」

「いや・・・・っていうかさ、オレはそんなに気に入ってないとは言ってなくて・・・なんていうのかな、ノックもなしに入ってくるのはプライヴァシーの侵害というか、一応私も人権があるというか」

「ああ、それは悪かったな、疲れてるんじゃないかと思って、起こさなかったんだよ」

「・・・・」

「とりあえず洗濯物はこれで終わりだから、干し終わるまで少し待っててくれ」

「・・・・あのさ」

「なんだ?」

「あんたのとこのガキ、いや、お子さん?なんかあんたと苗字違ってない?」

「・・・・」

「なんで?」

「・・・・」

「いや、聞いちゃいけないことだったか?別に秘密にしなくたっていいじゃん、こうやって同じ釜のメシ食う仲になる訳だろ?まあ話したくないのを無理に聞くつもりもないけどさ~」

「ああ、別に秘密にするつもりはない」

「・・・で?なんで?」

「オレの子じゃないからだよ」

「そうか~・・・」

「・・・・」

「で?」

「何が?」

「だから何?」

「日本語がわからないのか?」

「は?意味判らないし!だからあんたの子じゃないとしたらなんであんたと一緒に住んでるとか、あんたが面倒みているのかとか、普通話すんじゃないの?だってそれが日本語だろ?それくらい判るんじゃないの?」

「ようするに、自分の子じゃない子供の面倒をオレが見ているのが気になって仕方がないのか?」

「いやいやいや、そんなの全然興味ないし、どうだっていいし!あんたの人生に係わりたくないし、なんで普通じゃない、自分の子じゃない子の面倒みてるのかなんて全く眼中にない!オレの人生になんの係わりもない!でもそういうことを話すのは常識じゃないの?」

「だから、自分の子じゃない子供の面倒をオレが見ているのが気になって仕方がないんじゃないのか?」

「いやいやいや、全然興味ないし!なんでいちいち噛み付いてくるわけ?やっぱり後ろめたい何かがあるのか?」

「・・・・」

「っていうか・・・何かオレって性格悪いみたいか?」

「だから、オレの人生に興味があるんだろう?」

「ないよ!あんたの恥部とか、どんな女と付き合ってきたとか、性生活とか、(商売柄全く興味がないとは言わないが)あんたに興味はない!」

「じゃあ、別にどうだっていいだろう」

「・・・・ああ、どうだっていいよ!」

「洗濯物を干していいのか?」

「勝手にしてくれ!」

「・・・あんた、気が弱いのか?」

「は?何言ってんの?」

「・・・・」

「・・・・」

「言っておくが、3日後はあんたが選択当番だ。しかし・・・ま、それはいいか」

「・・・何が?」

「いや、いい・・・」

「何が?」

「何でもない」

「・・・・」

「じゃあ、邪魔したな、引き続き寝てくれ」

「・・・・」

部屋から出て行く

「洗濯・・・・ババアのパンツも干すのか?も?オッサンも?そういうものか?洗濯って??」

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