ノスタルジア Part1 – なりゆき主夫のリアルな日常 – 楽天ブログ(Blog)

私の実家は周りを山に囲まれた盆地にある。
干上がった湖の底のような形状で、周囲を3つの川に囲まれた、山の中の大きな三角州だ。
盆地で、台地であり、高台には城があった。
今では何も残っていないので、観光地としての価値が全くないのが残念であるが。
ただ、城の跡地からの眺めは実に美しいものであった。
私は城跡公園から、駅のある下町までを見下ろすのが好きだった。
田舎であるが、都会でもあった。
私の住んでいた通りは別名銀座通り、キネマ通りとも行った。
映画館が3つもあったのだ。
(既に全てなくなっているが)
もぎりのおばちゃんは券を買わなくても私を中に入れてくれた。
それほど何回もよく一人で映画を見に行ったのだ。
そんな私は、田舎育ちのもやしっ子だった。
私の実家は元々は由緒正しい商家だったようだ。
生地問屋から仕立ての洋服屋、戦時中には軍服でかなりの利益を上げたという。
通常、大変な時期になに不自由なく育った私の父は、人当たりの良いボンボンだった。
祖父が残した莫大な土地、財産を、祖父が亡くなって数年で全て使い切った。
最後には母と私たち子供と借金を残して、2号さんの元へと消えた。
テーラーだった実家は、水商売に変わっていた。
法的に離婚したのは、小学校5年の時。
しかし、父と同居していた記憶は一つもないのも事実だ。
私にとっては楽しい思い出ばかりの田舎ではない。
むしろ、大嫌いであり、憎んでいた土地だ。
商人のルール。
士農工商、一番下で、実があるからいいではないか、と言われて、「わかりました?!親方!」なんていうアホはそういない。
人に憎まれるから、自分も嫌がらせをし、差別をされるから、さらに差別をする相手を見つける。
それが普通におこる心理状態だろう。
しかし、そんなことをして入手した充実感に手放しで浸る事は出来なかった。
甘い?
そうだ、私は過保護に育った。
ひきこもりの過去もある。
だからという訳ではないが、必死に生きるための必然として、罪のない人が自分の生活を脅かすという理由で誹謗、中傷する行為を大手を振って反対する勇気が、ないのだ。
私たち家族は、色々な理由から位が低くならざるを得なかった。
しかし、底辺では、ない。
底辺の存在を知らなかったし、それは興味がなかった。
自分よりちょっと位が低いやつの存在を確認出来ればいいことなのだ。
クラスの中で、一番ダメでなければいい。
そんな考え方をしている人間が、ランキングされていていい訳がないのだ。
私は田舎から逃げ出したのである。
逃げ出し、しがらみのない東京で、無から始めれば、マイナスをプラスにするより楽だと考えたのだ。
私の考えは、確かに当たっていた。
多くのマイナスはご破算になった。
しかし、プラスにすることが難しいのは、東京でも同じ事、いやむしろ、よけいに難しい事といえるのかもしれない。
私は未だにゼロであり、妻や家族に託せるもの、または育ててくれた母に贈れるものは、なにもない。
子供がプラスといえば、プラスなのかもしれないが・・・
むしろ重荷とも言える。
役1年ぶりに帰省し、また一層年老いた母と会い、客が来ない現状の愚痴を聞き、自分の現状を報告し、「心配はしないでくれ、大丈夫だから」というしか出来ない自分が情けない。
義母や、子供たちと、お墓参りに行った。
墓の洗い方や、花の活け方に、「私はそれじゃあ納得がいかない」という義母。
私は、「これが保高流。先祖代々、いい加減なんですよ」といった。
義母や花子や太郎にも、実子の鮎の本当のお兄ちゃん、お姉ちゃんに線香をあげてもらった。
鮎に「ねえ、本当のおにいちゃんとおねえちゃんは、なんでここにいるの?」と聞かれ、返事に困った。
「まだお墓買ってないからだよ」と言っておいた。
一応、(本当じゃないけど)お姉ちゃんとお兄ちゃんと寝起きを共にしているのだ。
この2人がリアルな兄弟なのであり、死別したファンタジーに浸ってはいけないと思う。
世間体を気にせず、現実社会を生きることが、保高流の供養の仕方なのだ。
あえて声高々に訴える程のものでもないが・・・
墓の問題や宗派の問題は面倒だ。
義母に、「ここからの眺めを観て下さい」と、墓の高台から見た、山の景色を教える。
義母は、「あら?いいねえ?。こんな綺麗なところが田舎で、これも財産だねえ」と言った。
私は「そうですね」と言った。
自分が住んでいた土地を褒められるのは少し嬉しい気もするが、たぶんに同じようには見えていないはずであり、自分がこの景色を初めて見たとしたらどう思うのか、客観的に考えることが出来ない。
そのなかでの色々な付随した想いのために、無条件に惚れ込むことが出来ないのが故郷であろう。
おそらくは、義母の故郷も同様だと思う。
勿論、そんな振り出しをしたら、数時間もの間、話を聴くはめに陥ることになるが。
いずれにしても、既に過去の話だ。
大事なのは現在。
私が現在住んでいる地域が、子供たちにとって、どう思えるのがいいことなのか。
そんなアイデア具体的に出てきたら・・・
立候補でもするか!!
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私は、桑原茂一では、ありません・・・

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