靴職人の定義する「いい靴」 – なりゆき主夫のリアルな日常 – 楽天ブログ(Blog)

リアルともフィクションともつかない「靴職人への道中途挫折編」。
先ほど楽天で靴工場キーワードで商品を探してたら・・・
どん底の人びと
前にも見たような気がするが、改めて「どん底の人びと」というタイトルにちょっとビビる。(汗)
そんな、「どん底」婦人靴工場の1年。
夏=ブーツ。
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冬=サンダル。
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間をパンプが流れる。
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大雑把に言えばこういうこと。
そして外部の生産ラインを確保する。
暇になった時に、社内の人間は切れないので、外部を切るためだ。
外注は暇な時期に自らが生き延びるために存在している訳だ。
それが靴の生産ライン。
婦人靴といっても種類は色々。
一つ一つの靴に名称がついていると言ってもいいのだが。
かかとがあれば何でもパンプと呼ぶ。
ローファーもウォーキングコンフォートも。
ようするに、ブーツとサンダル以外は全てパンプなのだ。
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Dさんが言った。
「おめえも靴の勉強するんだったら、いいデパート行ってよ、靴見てきな。にーきゅっぱ(2,980円)とかじゃダメだぞ。1万円とかする靴だぞ」
「・・・うちの靴も、1万円とかしますよね?」
「うちのはダメだ。見てわかるだろ?こんなに曲がった靴見たくねえだろ?こういうのが目が腐るっていうんだ」
「・・・判るような気もします。(汗)」
「とにかくいい靴は見て勉強しなきゃダメだ」
「は、そうですか・・・」
いい靴を作る。
これは難しいことだ。
実際に私は(最初は)いい靴を作りたくて靴の修行を始めようと思っていたのだ。
勿論、「いい靴って何?」と訊かれても答えられはしないが。(汗)
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私とDさんの会話を聞いていた師匠が後で言った。
「あのな、言っとくけど、今の日本にいい靴なんて1足もねえぞ」
「そうですか!」
「あたりめえだろ。おめえだって靴屋に係わってよ、毎日口開けてボ?っとしてるだけじゃねえだろ?それくらいのことは気づいてるだろうがよ」
「ああ?・・・ま、そうですね」
「いいか、こうつら、足が痛えっていったら、それは靴が悪いんじゃなくて、足が悪いっていう連中だ。そんな奴らにいい靴が判るか?」
「は?・・・」
師匠は流れているつり込み途中のパンプの木型を取った。
「これはよ、プラモデルだ。な?もう部品が出来てる。これをよ、引っ張って、木型に合わせて伸ばして、ノリ塗って底貼って、乾かしたら出来上がりだ。これが靴だ。な?プラモデルと何ら変りゃしねえよ」
確かにそれはそうだ。
というより、元々そう思っていた。
既成靴は全てプラモデルだ。
しかし・・・
師匠はニヤッと笑った。
「でもな、プラモデルだからってかまやしねえ。ようするに銭だ。な?一日に多くの靴が作れる奴が稼げる職人だってことだ。ここじゃ駄目だぞ。一丁前になって一足ナンボの職人になるんだ。っていうよりな、それ以外は職人じゃねえんだ。だから腕を磨けってことだ」
「しかし、私はノリ塗りばかりですが」
「ま、そのうちな・・・おめえは底貼り連中にノリ塗りは一番うめえっていわれてんだろ?本当はオレの次だけどよ。まあそんなことはどうでもいい。他の連中よりマシなことを作っていけばいいんだ。急ぐ事はねえよ」
「わかりました」
最初、私にとって靴工場の全てが新鮮なものだった。
しかし現実には、履き易く良い靴、オリジナリティに富んだ靴、自分の好みの靴を作る土壌などは存在していなかった。
ある意味仕方のないことではある。
利益の上がらない仕事をする訳にはいかない。
これが日本の靴業界における歴史的経緯。
そしてこの製造ラインも工員の高齢化、原料の値上がり、輸入規制の緩和など、国内製造の根本的見直しを迫られていた。
仕事は趣味ではない。
何を仕事にするべきなのか。
それは誰のためなのか。
どのような利益を生み出すのか、どのような損失を生み出すのか。
私は、靴職人への道がどこに繋がるのか、イメージを見失っていた。
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