オプレーシブグレイン・SOHOアベニューの前、引越し屋と品川隆三
「荷物は全部2階ね、あのあたりへ頼みます」
「このあたりでいいですか」
「そうそう、そのへんで」
「荷物少ないわね」
「ま、身軽なほうがいいですから」
「そうよね、それは何?」
「資料です、執筆活動に使います」
「・・・」
「・・・さ、おにいさん、運んで頂戴」
「重いですね(^_^;)」
「っていうか仕事でしょ~!・・・・ま、ちょっとつめすぎたかな(^_^;)」
「段ボールの底が抜けそうですよ」
「それはマズイ!オレも手伝うから、ばら撒くのだけはやめてくれ!」
「まあ、後はよろしくお願いしますね、何かあったら、下にいますから」
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「こんなもんで」
「ああ~ご苦労様です」
「じゃあどうもありがとうございました!またのご利用お待ちしております!」
「はいはい~・・・っていうかそんなに利用したかないっての。引越し貧乏になっちまうよまったく。さて・・・」
窓を開け、ベランダに出る隆三隆三。
手すりから見えるのは、住宅、テニスコート。
ラケットにボールがあたる音と、大学のサークルか、若い女性の掛け声。
「ま、いっか~・・・」
部屋に戻り、エアコンのスイッチを入れ、机の周りを整理する隆三。
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ベランダと吹き抜けの天窓から夕方の日差しが入る。
ソファーで転寝をしている品川。
「ん・・・・」
「誰かいるのか?」
「・・・」
段ボールから落ちているエロDVDを手に取る隆三、首をかしげるが、また段ボールに放り投げ、TVの配線をはじめる。
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「よし、写ったよ~。地デジ完全移行までは、まだしばらくこのチューナーに頑張ってもらわないとね~」
[youtube:Pzx3j4wCB9M]
気配を感じて振り向く隆三。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「な・・・」
(視線をあわせず、部屋を出て行く)
「・・・」
しばし呆然の隆三。
「なんだ?今のは」
気を取り直して、部屋の外へ出る隆三
「あら、こんにちは」
「ああ!これはこれは」