脱構築

光は実家の近くのアパートで独身者のような生活を送り、休みの日は新しい彼女と、ウタコと一緒に出かけていった。娘夫婦には子供が生まれ、長男の嫁も妊娠した。
既に花子は彰子が養子縁組していた。
それは美佐子が裁判を起こしてウタコを連れ去ることまで想定してのことだった。

以前の最悪の時期は過ぎ去っって、新しい家族が構築されつつあるかのように思えた。

しかし、光の新しい彼女を、彰子は認めるつもりはなかった。
今のまま自分がウタコの面倒を見続ける状況は、決して最善ではないことも、彰子には判っていた。
新しい光の彼女は、美佐子と比べればそれほどは若くないし、少なくとも愛想笑いは出来た。
しかし、金髪、長い爪、派手な服装は美佐子と同じで、水商売の女であることも変わりはなかった。
自分が好感を持てる女は世の中にはいないかもしれないとも思った。

この女になついているウタコを見るのは嫌だった。

「あなたにウタコの面倒をみる決心はあるの?」

彰子は新しい彼女に訊いた。

彼女ははっきり返事が出来なかった。

彰子は、「やっぱりこの女には無理」だと思った。

また、ウタコのみならず、再び赤の他人の女の面倒までみる羽目に陥るのはまっぴらごめんだというのもあった。

光が何かから抜け出そうとしているのに、敢えて邪魔をするつもりはなかった。
だからといってお膳立てをしてやるつもりにも、ならなかっただけのことだ。

数日間、顔を出さない光彦が心配になって、彰子はアパートの様子を見に行った。

鍵のかかった部屋の中で、光はエアコンをつけたまま冷たくなっていた。

彰子は光の仕事先の社長に電話をかけた。

社長は、すぐに警察に電話をするように彰子に入った。
彰子は、何故「救急車」ではなくて「警察を呼べ」といったんだろう?とぼんやりと考え、長男に電話をして、「どちらを呼べばいいのか」と聞いた。

そのまま、心臓が痛くなり、彰子も動けなくなった。

長男夫婦がアパートに着いた頃には、既に光の仕事の同僚、警察、そして光が付き合っていた彼女も来ていた。

彰子は横になって事情聴取を受けていた。

警察は事件ではなく、事故として処理した。

光の遺産(負債)は家族全員で放棄したが、彰子はここで、もう一度、子育てを始める決意をした。

花子は、既に小学生になっていた。

今までは花子に対する子育てが、以前の自分が産んだ子供、長男や光とどのように違うのか、彰子は全く考えなかったし、思いもつかなかった。

すべてはこれから考える。
これから始まるのだ。

これで、ようやく、プロローグへと続きます。
長いことありがとうございました。

そして、お気づきだと思いますが、本編はこれからというか、表に掲載されているとおりです・・・

ちゃんと繋がっていない気がする?
その辺はみなさんの想像力で・・・(;^_^A アセアセ
いづれ書くかもしれませんが、とりあえず思いついてないので。
ご意見、またはご要望等ありましたら掲示板にてコメントお寄せくださいますよう、お願いします。

また、この話はあくまでもフィクションであり、登場人物も団体も実在しませんことを、追記しておきます。

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