クソジジイ!と叫ぶクソガキ – なりゆき主夫のリアルな日常 – 楽天ブログ(Blog)

またしても昔の話でございます。
アントニオ猪木が、ハルク・ホーガンのアックスボンバーで舌出して死んだふりをしていた頃の話。
街角のサングラス売り時代。
私は渋谷の駅前、某デパートの店頭で「いらっしゃいませよ?い!」と声を張り上げていた。
露店とはいえ、デパートの店頭で、売り上げの20%以上をテナント料としてデパート側に支払っていた、カタギのビジネスである。
だから一応、ネクタイ締めて、まともな店員風を装っていた。
とはいっても、私のヘアースタイルは直径40cm程のカーリーだったが。
2月は物が売れない時期だ。
店頭には、私たちサングラス売りと、バーゲン商品売り子のデパガねえちゃん、ハンカチ売りの耳ピアス男などがいた。(当時、鼻ピアスしてる男は皆無であった)
今の時期だと、バレンタインチョコねえちゃん等も混じっていた。
ハンカチ売りの耳ピアス男は、自分のことを「ジョー」と呼んでくれと言っていた。
しかし、私は彼のことを「ジョッピー」と呼んでいた。
ジョッピーは、強烈に静電気が走る男だった。
私たちの隣には、ビルの中を暖めるためのバカでかいエアコンの室外機が轟音を上げて霜だらけになっていた。
使い捨てカイロがデパートから支給されたが、暖かくはならなかった。
そのカイロは閉店時間の20分程前に、回収された。
回収された使い捨てカイロは、ビルのオーナーが夜、使っていたらしい。
本当にあった怖い話である。
そのような環境で、渋谷の街を行きかう人々に向かって、「さ?いらっしゃいませ?おきゃくさま?。タイムサービスですよ?!今なら千円!」と、一日中、毎日、叫んでいた訳だ。
店の前には、靴磨きのオッチャン。
新聞売ってる、売店のオバチャンもいた。
今の渋谷駅前とはちょっと違った光景なんだろう。
そんな日常の中、一人の子供が店先をうろうろしていた。
3?4歳くらいの男の子だ。
サングラスをガシャガシャいじるので、最初のうちは、「ボク?やめようね」なんて言っていたが、やめる様子もないので、少し強い口調で、宥めた。
「こるるぅあ?!やめろっていってんだろうがぁぁ?!」
手を握って止めさせると、クソガキは言った。
「ゆるしてください、もうしません」
私もちょっと口調がキツかったかと思った。
「もうさわっちゃダメだよ」
といって、手を離した。
クソガキは、「クソジジイ?!!」と言って、走っていった。
唖然とする私を見て、デパガねえちゃん、ハンカチ売りのジョッピー共々ププっと笑った。
ちょっとくやしい。
そして、クソガキはまた戻ってきた。
「さわるんじゃねえぞこら」
デパガねえちゃんはニコニコしながらクソガキに、言った。
「ねえボク、あなたのおかあさんはどこなの?こんなところで一人で遊んでたら危ないのよ」
するとまたしてもクソガキは「ゆるしてください。もうしません」といった。
「べつに謝らなくてもいいのよ。あなた迷子になったんじゃないの?おかあさんがどこにいるかわからないんだったら、交番に連れて行かなくちゃいけないのよ」
帰ってくる言葉は「ゆるしてください。もうしません」だった。
デパガねえちゃんは私の方を見た。
顔には、「可愛いもんじゃん・・・」と書いてあったと思う。
私の顔には、「どうかな?」と書いてあったか。
そして、クソガキは「クソババア?!!」と言って、走り去った。
デパガねえちゃん、「んまあ?!!」
プンプンだ。
私は笑って「よかったね?クソジジイって言われなくて」と言った。
デパガねえちゃんは私を睨みつけた。
顔には、「あんたって最低な男ね!」と書いてあったような気がする。
クソガキ、今度は、どこからか持ってきたビールケースを転がし、靴磨きのオッチャンの邪魔をしている。
靴磨きのオッチャンも、クソガキに声をかけている。
そして、去り際に「クソジジイ?!!」と言って、走る。
そしてまた戻ってくる。
靴磨きのオッチャンも含めて、こいつの親は何してんだ、と立ち話。
デパートの主任も噂を聞きつけ、「誰がクソジジイ?クソババア?」と嬉しそうにやってきた。
「その辺にいるから、暇だったら探して来るといいですよ」
探しにいった。
本当に暇なオッサンだ。
親は、たぶんどこか近くにいるのだろうが、子供を野放しにしているんだろう。
その子供は、2つの言葉しか喋らない。
「ゆるしてください、もうしません」と、「クソジジイ!」だけだ。
(クソババアもあったか・・・)
しばらくの間、クソガキはこの駅前の一角で皆に迷惑をかけて遊んでいた。
いなくなったところを見ると親が連れて帰ったのだと思うが。
このクソガキ、生きていればとっくに成人しているハズだ。
こんな育ちをしていたら、ロクな大人になっていないと思われるが。
このクソガキがクソオヤジになって、そのクソ嫁がまたクソガキ産んで、そのクソガキが大人になる頃、クソガキはクソジジイになる。
そうしてクソの増殖は留まることがないのであった。
なんちゃって!!
都会には、いろんな人間がいるが、渋谷の昼下がりにブラブラしている子連れの親は、殆どロクなもんじゃなかった。
公園通りの店だったら、サングラスに触る子供に、「ダメよ」なんて言いながらメガネ選んでる親には「お前がダメだろ」とかましてやったところだが。
一応、純高級風?デパートの店先なので、私も紳士的な振る舞いで、「ちょっと、やめさせてもらえる?」程度の応対をしていた次第であった。
それでも、買う奴は買うし、買わない奴は買わないのだ。
とにかく、子供を連れてのショッピングには今も昔も、気をつけてもらいたいものである。
教訓は・・・自分の子供には、「クソジジイ」以外の単語も教えよう!!
「クソジジイ」って単語、習わせたものなのか、判りませんが・・・

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