プロローグ その6 結婚 – なりゆき主夫のリアルな日常 – 楽天ブログ(Blog)

彰秀と洋子が結婚した当時、雅子の夫は健在だった。
彰秀は洋子の実家へ「既定の挨拶」をしに行き、義父となる予定の夫と二人で巨人戦を見ていた。
雅子と洋子、そして洋子の弟二人は、台所に非難していた。
野球を全く愛していない彰秀にとって、その2時間ほどは拷問のようであった。
野球も終わり、夕食も食べ、することが何もなくなって、義父は、彰秀に助け舟を出した。
「飯食って帰るために来たんじゃないだろう」
彰秀は籍を入れさせてもらいたい要望を伝えた。
義父は、「話は判ったが、籍を入れる前にやることがあるだろう」と言った。
「既定の手順」を踏めということだ。
彰秀は結納セットを買った。
(実際には費用は出してもらっていた)
それを持参し、鯛のお頭をご馳走になった。
彰秀は家族を上京させ、大きな洋食屋でビーフストロガノフを義父にご馳走してもらった。
2,000円のハヤシライスだ。
彰秀にとって、冠婚葬祭における「既定の概念」は殆どが未提出項目である。
それらの「既定の手順」も、結婚するために辿る段取り以上の何物とも感じていなかったので、結婚式及び披露宴に関しては、とにかくプラス収支にするくらいの価値観しかなかった。
彰秀と洋子の決めた式次第は次のとおり。
・神前結婚式+写真パック
・親族による昼食会
・会費制立食パーティ
会費以外のお祝いが利益になる予定だったが、実際にはお色直しで赤字になった。
(穂高家は1銭も払っていないのだが)
いずれにせよ、式は終了し、彰秀と洋子は籍を入れ、親族の了承の元、結婚した。
そして、彰秀は妻の実家における、ヒール(悪役)になった。
「既定の概念」では、一族に他の「既定の概念」が入れば、身を守るためには先ず悪役に仕立てるべきとある。
その後、都合に合わせて修正していけば良いことだ。
そして、彰秀はいつまでもヒールではなかった。
彰秀を庇ったのは、やはり光彦であった。
彰秀のためにと言うわけではないだろうが、結果的にそうなった。
光彦は最初の結婚をする前に、結婚したい相手を既に妊娠させていた。
「相手方が許してくれるならば、結婚させていただければ幸いです。」
と、いうのが、次男坊の親に共通する「既定の概念」のような気がする。
相手の家は不動産関連で、金持ちだという。
結婚式もオーソドックスに、「よくある結婚式」を挙げた。
実家の持ち出しは、長女の時とは桁が違った。
光彦の結婚の後、彰秀は家族におけるベビー(善玉)に昇格した。
数年後、雅子の夫は他界した。
光彦の兄、義彦も幼馴染と結婚した。
結婚式は同級生や職場の同僚と企画し、いわゆる「人前結婚」というスタイルを採った。役所に届ける様式にサインし、判をおすというスタイルだった。
義彦夫婦は実家の近くにアパートを借りた。
洋子夫婦が雅子と同居することになった。
光彦の最初の結婚も、初孫を先方に引き取られる形で終わった。
そして、実家の近くに引っ越してきていた光彦のアパートに美佐子、実家には赤ん坊の花子が来た。
雅子は気持ちの上で、祝福をしたくないという訳ではない。
応援する腹積もりはいくらでもある。
もしも、二人で一生懸命やるのなら、「既定の概念」を訂正することは簡単だ。
しかし、「もしも」の断り書きを反故にされたら・・・
結局は二人を信用できなかった。
ただ、「花子に雅子が必要」なのと同様に、「雅子にも花子が必要」になっていた。
光彦と美佐子は入籍した。
結婚式は、「バツイチでも結婚式を挙げようキャンペーン」。
モニターに当選したのだった。
光彦と美佐子は、テレビにも出演した。
近所の噂話が大好きな奥様達も、皆テレビを見ていた。
光彦は2回目はとてもリーズナブルな、お披露目をしたのだった。
つづく
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